小児の病気について
1.溶連菌感染症
時期:1年中
原因:A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)
症状:のどの痛み、熱。
時に体や手足に発疹が出ます。舌はイチゴのようになります。
リウマチ熱や腎炎を起こすことがあります。
潜伏期間:1日から7日
検査:迅速検査があります
治療:抗生物質を内服します。1日か2日で熱が下がり、のどの痛みも消えますが、指示通りに最後まで内服することが大切です。
家庭で気を付けること
- 兄弟、父母にも感染し発症することがありますので、同じような症状があれば受診してください。
- 2日以上たっても熱が下がらないときや、のどの痛みが強くて水分をあまり飲まないときは受診してください。
- 抗生物質を飲み始めて24時間以上経っていれば、ほかの子にはうつりません。解熱して元気であれば、登校、登園できます。
2.はしか(麻疹)
時期:春から夏にかけて流行します。
原因:麻疹ウイルス
症状:はじめの2,3日は、熱、関、鼻水、目やになど、風邪と同じ症状です。いったん熱が下がることもあり、発熱後3〜4日で高熱とともに全身に発疹が現れます。
発疹が現れてからも、さらに3〜4日高熱が続きます。
潜伏期間:およそ7〜14日
治療:対症療法(咳止めなど)
家庭で気を付けること
- 食欲がなくなるので、水分を十分に補い、消化の良い、口当たりの良いものを与えるようにしましょう。
- 肺炎や脳炎を合併することがあるので、指示された日に受診してください。
- 細菌感染症(肺炎、中耳炎など)を合併している場合には、抗生剤を内服します。
- 登校、登園停止期間は、解熱した後3日を過ぎるまでです。
3.おたふくかぜ
時期:1年中
原因:ムンプスウイルス
症状:耳の下の耳下腺が腫れて痛がります。左右とも腫れますが、片側だけのこともあります。熱は3〜4日で、腫れは1週間くらいでひきます。
潜伏期間:およそ14〜21日
家庭で気を付けること
- 酸っぱい食べ物や、よく噛まなくてはいけないものは避けましょう。痛みが強いときは、噛まずに飲み込めるものを与えます。牛乳やみそ汁、スープ、プリン、ゼリー、おかゆ、とうふ、などがよいでしょう。
- こんな時はもう一度受診しましょう。
頭痛が強く、何度も吐くとき。
熱が5日以上続くとき。
耳の下の腫れが赤くなったとき。
睾丸を痛がるとき。
おなかの痛みが強いとき。
耳の聞こえが悪いとき。 - 登校、登園停止期間は、発症後5日間経過し、耳下腺の腫脹が消失するまでです。
4.手足口病
時期:主に夏季(5〜9月ごろまで)
原因:エンテロ/コクサッキーウイルス
症状:手のひら、足の裏、口の中に小さな発疹ができます。おしりやひざにできることもあります。乳幼児の間で流行します。以前にかかったことのある子でもまたうつる場合があります。時に高熱が出ることがあります。
手足の発疹は痛がりませんが、口の中が痛くて食べられなくなることがあります。
家庭で気を付けること
- 口の中が痛いときは、熱いもの、塩味や酸味の強いもの、固いものは控えましょう。
- 水分をあまり飲まないとき、高い熱が続くとき、吐いてぐったりしているときは、もう一度受診してください。
- 基本的に、元気であれば学校、園などに行ってかまいませんが、出席に関しては学校、園などと相談しましょう。
5. とびひ(伝染性膿痂疹)
時期:夏に多い病気です。
原因:ブドウ球菌、溶連菌
症状:擦り傷や虫刺され、あせも、湿疹などに菌が入り込んで赤いかさぶたのある発疹ができます。これを搔き壊した手で他の場所を掻くとうつるので「とびひ」と言われます。
治療:消毒・軟膏、時に抗生物質の内服の併用療法が効果的です。
家庭で気を付けること
- 石鹸を使って体の汚れを洗い流し、その後軟膏を塗ってください。
- 爪は短く切り、石鹸で手をよく洗いましょう。
- お鼻をいじらないようにしましょう。
- 熱が出た時や、発疹が増えた時、顔や体が赤く腫れてきたときは受診しましょう。
6.水ぼうそう(水痘)
時期:11月から翌年の6月ごろまで流行し、夏から秋にかけて減少する傾向にあります。
原因:水痘―帯状疱疹ウイルス
症状:水をもった赤い発疹が、おなか背中だけでなく、口の中から陰部、頭の中など全身に出ます。数日間発熱することがあります。発疹は2〜3日でピークとなり、その後乾いて黒いかさぶたになります。平均して1週間くらいで治ります。
潜伏期間:およそ14〜28日
治療:抗ウイルス薬を発症後72時間以内に内服すると効果的です。
家庭で気を付けること。
- 口の中がいたいときは、熱いもの、塩味や酸味の強いもの、固いものは控えましょう。
- 発疹が赤く腫れて化膿したときや、ぼんやり、ぐったり、元気がないとき、4日以上高熱が続くときなどは、もう一度受診しましょう。
- 登校停止期間は、すべての発疹がかさぶたになるまでです。
7.インフルエンザ
時期:12月ごろから翌年の4月ごろまで(年により流行期間が異なります)
原因:インフルエンザウイルス(A型またはB型)
症状:普通の風邪に比べて、症状が重くなります。高熱、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、筋肉痛、のどの痛み、鼻水、咳などです。
潜伏期間:およそ1〜3日
検査:迅速検査があります(発症後12時間以上で)
治療:抗ウイルス剤(タミフル、リレンザ、イナビルなど)
家庭で気を付けること
- 水分を十分にとるよう心がけてください。
- 元気がなくなったり、何度も吐く、けいれんなど、いつもと違うなと思ったら、早めに受診してください。
- 発症日を発症0日と数えます。登校、登園許可の基準はご在住の地域や機関によって多少変わりますのでご確認ください
8.熱性けいれん
6か月から6歳までのお子さんに、38度以上の発熱時に生じるけいれん発作で、1歳から1歳半の間に最も頻繁に起こります。
日本人では10〜15%が一生に一度は熱性けいれんを起こすと報告されています。熱性けいれんが起きたことによって脳に障害が生じたり、知能の低下が起こることはありません。
熱がないときにけいれんを生じるてんかんとは違います。
原因:
- 感染症 ウイルス感染もしくは細菌感染に伴う発熱時に起こります。
初回のけいれんは、突発性発疹の時に起こることが多いと報告されています。 - 予防接種 まれですが、予防接種の発熱で熱性けいれんを起こすことがあります。熱性けいれん後、予防接種はスケジュール通り実施できますが、余裕があれば2〜3か月様子を見てから実施します。
余裕がなければ主治医と相談の上、1カ月程度で実施する場合もあります。
熱性けいれんの症状
ほとんどの場合、発熱の初日にけいれんを起こします。
- 単純型
意識消失し、腕、足がリズミカルに震えます。目が上や左右を向いて動かなくなり、体が硬くなる場合もあります。ほとんどの場合、1〜2分で消失しますが、15分くらい続く場合もあります。 - 複雑型
15分以上続く場合、もしくは短いものの繰り返しで30分以上続く場合があります。止まった後に、一時的に手足の力が入りにくくなったりします。
熱性けいれんが起こったら
横向きに寝かせて、安静にします。動きを止めようとしたり、刺激するのはやめましょう。口の中に何かを入れて呼吸を確保するのはかえって危険です。
余裕があれば、けいれんが始まったら時計を見て時間を計り、5分以上持続するようであれば救急車を呼びましょう。
短時間で自然に消失するようであれば、落ち着いたら直ちに小児科を受診しましょう。
熱性けいれんを繰り返す場合
約1/2から1/3が熱性けいれんを繰り返し起こします。
繰り返すリスクが高いのは、
- 初回のけいれんが15カ月未満であった場合
- 頻繁に発熱する場合
- 両親やきょうだいに熱性けいれんやてんかんの既往がある場合
- 熱が出てすぐにけいれんを起こす場合
など、です。
2回以上けいれんを起こした場合、または複雑型熱性けいれんを起こした場合は、自宅でけいれんを予防する座薬を使用し、予防することができます。
9.りんご病
時期:1年中
原因:ヒトパルボウイルスB19
症状:頬がりんごのほうになるので、りんご病と呼ばれています。他には、主に太ももや腕に、赤い斑点やまだら模様ができます。頬がほてったり、少しかゆくなることもあります。微熱が出たり、ひざが痛むことがあります。
治療:自然に治りますが、かゆみが強いときはかゆみ止めを処方します。
家庭で気をつけること
- 高熱が出たり、元気がなくなってきたら受診してください。
- 症状が出現したときには、すでに感染する時期を過ぎていますが、出席に関しては、学校、幼稚園、保育園などと相談してみましょう。